2019年12月20日

【 一枚の色紙 】




 写真は水害を被った南禅寺様の色紙です。金粉をほどこした色紙に「風」の一文字

   『風』に向かえば、やがて磨かれ柔らかくなる
 
 と添え書きがついていました。

 令和元年10月13日(日)未明より襲った台風19号がもたらした水害により
 穂保事業本部(敷地面積4,400㎡)は水位2.5mの泥水に水没してしまう被害を被りました。
被害状況(10月20日報告)
    建物:事務所棟(150㎡)、工場棟(1,200㎡)、倉庫2棟(600㎡)
    機械:加工機(13台)、電動工具(40台)、他工具(数百個)
    車両:ユニック(1台)、ダンプ(1台)、フォークリフト(2台)、軽トラ・軽バン(13台)
    事務機器:サーバー(2台)、パソコン(7台)、コピー機(2台)
    在庫木材:大量(試算中)
    保存書類:60年分の契約書と図面、保存伝票(一年分)
 
  水が退き、泥に塗れた社長室に入った時、まず眼にに入ったのが床に落ちていた色紙(写真)でした。
 拾い上げてみると額は泥がついて汚れていましたが、色紙の汚れは極わずか、頭が真っ白になり半ば
 放心状態の私は拾い上げ「良かった」と口ずさむと同時に目が覚める思いでした。
 さすが「南禅寺様の色紙」そして「南禅寺様のご利益」と心に刻み勇気付けられました。

 復旧作業は駐車場の土砂片付け、工場棟の土砂、泥に塗れた木材、事務室、休憩室の土砂、
 家具備品の搬出から始め、事業本部棟1階、倉庫棟と進め11月中旬には災害ゴミ処分完了
 しました。その後は復興作業を急ピッチで進めると同時に通常業務に戻りました。

 被災直後は泥沼状態だった事業本部でしたが、社員一丸となって復旧作業に取り掛かり
 一カ所でも平常時に戻る光景は「泥沼に蓮の花が咲く」ようでした。そして明日への活力
 の源泉となり疲れが癒されました。

 ここまで、施工中のお客様においては木工事中の現場4件は工期延長をお願いしました。
 被災されたお客様(旧客含む)においては被災直後から応急対応させていただくと共に
 復旧対応もさせていただいております。

 この度、台風が甚大な被害をもたらしました。泥沼にあった色紙のお陰で前向きに考える
 自分があり、そして柔らかく物事を考える自分があり、全てを肯定から受け入れる自分が
 出来てきたと感じています。

 これまで、大勢の皆様からご支援、励ましをいただきました。御礼申し上げます。
 令和2年は長野市復興元年です。「ONE長野市」で風に向かって前進します。
  


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2017年07月28日

【大黒柱】

 長野市K様宅100有余年住み慣れたお住まいを建替えるにあたり
 今は亡きお父様が庭に植樹した「杉」を大黒柱として使いました。



 
 樹齢80有余年の大木で八寸角(写真参照)が光ります。
 
 新築したお住まいの庭にも「杉」を植樹し
 次の建替えは「8寸の大黒柱」が取れるまで成長した時と
 微笑みながら話していたのが印象に残ります。
  


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2017年02月24日

【イヤならやめろ】  堀場雅夫  日本経済新聞社



 今朝の信毎経済面に産学官連携による産業活性化に取り組む団体の事業を
表彰する「イノベーションネットアワード」に今年から個人対象の賞として
「全国イノベーション推進機関ネットワーク堀場雅夫賞」が新設され、最初
の受賞者に多摩川精機(飯田市)の萩本範文副会長が選ばれた記事がありま
した。萩本副会長おめでとうございます。心からお喜び申し上げます。

 今回の「イヤならやめろ」は堀場雅夫氏が終戦直後、堀場製作所を起業し
1995年に50年間の集大成として堀場氏の「経営術」を語った書籍です。
副題は「社員と会社の新しい関係」です。1996年に青年経営者全国大会
が京都にて開催され、記念講演が堀場氏でした。おだやかな雰囲気で「ぼく
とつ」と講演される氏の姿、そして話に引き込まれたのを思い出します。

 一昨年90歳で逝去され、この本をブログに掲載しようと、つい先日再読
し終わったばかりです。今朝の新聞記事をみて慌ててUPしました。
失礼な箇所がありましたらお許しください。
  


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2017年02月01日

【『大学』を素読する】  伊與田 寛  致知出版社




四書(論語、孟子、中庸、大学)の一冊です。
論語の一節には有名な、「我15有余にして学に志し。。。。」があります。
その15歳までに身につける学問が『大学』です。

伊與田先生は「まえがき」で

 明の王陽明先生は初学の者に対しては、必ず『大学』を以て教えたと伝えられています。
 わが国に於いても、近江聖人と称せられる中江藤樹先生が十一歳の時、大学の
 「天子より以て庶人に至るまで、壱に是れ皆身を修むるを以て本と為す」
 の一句にいたく感動して聖賢の道に志しました。また野の聖人と称せられる
 二宮尊徳先生が少年の頃、薪を背負いながら常に読み続けたのが大学です。
               。
               。
               。
               。
               。
 因みに古典を学ぶ上に於いて大切なことは「素読」です。素読は天命に通ずる
 先覚の書を、自分の目と口と耳とそして皮膚を同時に働かせて吸収するのです。
 これを読書百篇で繰り返し繰り返し続けることによって、自ら自分の血となり
 肉となるのです。それが時あって外に滲み出ると風韻となり、そういう人格を
 風格ともいうのです。

と認めてありました。

昨年秋口(65歳)のこの書に出会い素読百篇に勤しんでおりました。
今年二歳になる孫二人に小学校に上がる前までに、一節でも伝えられたと思っています。
  


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2016年09月29日

【八大人覚】


 小欲    しょうよく

 知足    ちそく

 楽寂静   ごうじゃくじょう   

 勤精進   ごんしょうじん    精(くわ)しうして雑(まじ)えず、進みて間(ひま)なし

 不妄念   ふもうねん      法を守って失わず

 修禅定   しゅぜんじょう    法に住して乱れず

 修智慧   しゅちえ       聞思修証(もんししゅしょう)

 不戯論   ふげろん      無用の分別を遠離(おんり)す

年金をいただける年齢になり、「八大人覚」に努める所存です。
  


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2016年08月24日

【人生談義】   松下幸之助



前回に続き松下幸之助です。前回は講義録ですが今回はエッセイです。

 本書『人生談義』は、よりよく生きるための人生メモとして、92歳から
94歳で亡くなる寸前までの間に語ってきたもので、『PHP』誌に昭和62年1月号
より平成元年7月号までに連載されました。連載終了後、読者の皆様により
「ぜひ書籍としてまとめて欲しい」というたくさんのご要望をいただきました。
そこで、昭和59年1月号より三年間連載された「思うまま、感ずるまま」より
15編を選び付け加えて、あらためて一冊にまとめさせていただきました。

   平成2年4月吉日                 PHP研究所


本書の出会ったの40代なかば、会社の世代交代時期でありまた新会社も設立した
ばかりでリーダーとして如何に家庭、会社を纏め上げていくか慮っていたころです。

あれから20年、次世代への交代時期になり、今までの人生を振り返るとともに
本書を読んでみると、まだまだリーダーとして足りないことが多々見えてきます。

「富は屋を潤し、徳は身を潤す。心廣く體胖かなり。故に君子は必ず其の意を誠にす。」
をこれからの人生訓として進む所存です。
  


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2016年07月15日

【リーダーになる人に知っておいてほしいこと】   松下幸之助[述]


 

 第二次世界大戦敗戦後、日本国は焼け野原となり、国民の生活は困窮を
極めました。その最悪ともいえる状況から、高度経済成長期を経て復興を
遂げる中で、故・松下幸之助が85歳にして「次代のリーダー育成」を図り
私費70億円を投じて「松下政経塾」を設立したのが約40年前。

本書は1978年から1983年までの間に講義された未公開テープ約100時間の
中から松下幸之助が伝え、最低限心にとめておいてほしいことについて、
48項目を厳選し要諦をまとめた一冊です。

 今回の「参議院選挙」は与党連合と野党連合の戦いになってしまい、
「日本の未来」を創造する政策論争は皆無になってしまいました。

「地方創生」など影も無し「地方のリーダー」には

  " Think locally, act regionally, leverage globally."

なる人材が必要。しかし長野県民の審判はそうなったであろうか?

松下幸之助翁は今日の日本をどのように思うでしょうか?
  


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2016年06月15日

【霖雨】 葉室 麟



 「学問的な理想を追求した兄と、現実と格闘しながら地域社会をよくしようとした弟」

 天領の豊後日田で、私塾・咸宜園を主宰する広瀬淡窓と、家業を継いだ弟・久兵衛。
画期的な教育方針を打ち出す淡窓へも、商人としてひたむきに生きる久兵衛へも、お上
の執拗な嫌がらせが続く。大塩平八郎の乱が起きるなど、時代の大きなうねりの中で
権力の横暴に耐え、清冽な生き方を貫こうとする広瀬兄弟。

理不尽なことが身に降りかかろうとも、諦めず、凛として生きることの大切さを切々
と訴えた歴史長編。

エピローグに広瀬勝貞(大分県知事)と葉室麟の特別対談があり、これがまた良い。
広瀬勝貞知事の先祖が広瀬淡窓・久兵衛兄弟であり、広瀬家の家訓に、咸宜園の方針
「ことごとくよろし(鋭きも鈍きも捨てがたい。つかいようだ)」そして「心は高く
身は低く」と述べている。65歳の私にはズシンと響く家訓でした。
  


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2016年05月19日

【橘花抄】 葉室 麟



 筑前黒田藩、四代藩主綱政の時代起きた第二黒田騒動を題材にした物語です。

前藩主光之に重用され藩政改革のリーダーとなった立花重根、そして兄を支える
弟立花峯均。光之没後、粛清が始まった。減封、閉門、配流。立花兄弟は受容と
して苦境を受け入れるが追及は苛烈を極めた。己の信ずる道を貫く男、そのような
兄弟を支えて一途に生きる女。清新清冽な本格時代小説です。

 男の晩年はかく在るべきと学ばされる一冊です。
  


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2016年04月20日

【春風伝】  葉室 麟




 高杉晋作の血湧き、 肉躍る「物語=ロマン」。葉室文学の豊麗さが
「注釈=蘊蓄(うんちく)」で読者を魅了するだけでなく物語の宇宙の
なかに読者を招き入れることに、作者の腐心がある。
と解説されています。

 長州藩の上士(エリート)でありながら、徳川幕府に追われ、長州藩に
も追われた高杉晋作。そこには日本を西欧列強の植民地にしてはならない
との使命感からの行動でした。
 孤立した長州藩を師吉田松陰の教え「草莽崛起」を実行し見事に纏め上げ
幕府軍に勝利し明治維新の扉を開いた人物である。

 「天の時、地の利、人の和」が成功の要と言われます。高杉晋作の行動も
三要素の利にかなったものであると読み終わって感じます。

 あとがきで島内景二さんは下記のように解説してる。

 高杉晋作の二十七年と八か月の人生なしに、明治維新は達成されなかった。
人生を疾駆し、近代日本の魁と晋作の「魂の遺伝子」を同じ遺伝子を受け継い
でいると自任する葉室麟が、見事に解読した。それが、本書「春風伝」である。

 二十一世紀の日本は、かつてないIT化とグロバリゼーションの只中で「日本」
という文化の輪郭が融けつつある。この時、融解しつつある日本文化を逆手に
とって、新しい日本を一気に引き寄せる大風が吹くかどうか。いや、他人任せ
ではなく、私たち一人一人が、春風たりうるか。その覚悟のほどが、問われて
いる。松陰の言葉が松下村塾に集った若者たちの人生を変えたように、「春風伝」
は読者の世界観を一変させる。
  


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