2016年04月20日

【春風伝】  葉室 麟

【春風伝】  葉室 麟


 高杉晋作の血湧き、 肉躍る「物語=ロマン」。葉室文学の豊麗さが
「注釈=蘊蓄(うんちく)」で読者を魅了するだけでなく物語の宇宙の
なかに読者を招き入れることに、作者の腐心がある。
と解説されています。

 長州藩の上士(エリート)でありながら、徳川幕府に追われ、長州藩に
も追われた高杉晋作。そこには日本を西欧列強の植民地にしてはならない
との使命感からの行動でした。
 孤立した長州藩を師吉田松陰の教え「草莽崛起」を実行し見事に纏め上げ
幕府軍に勝利し明治維新の扉を開いた人物である。

 「天の時、地の利、人の和」が成功の要と言われます。高杉晋作の行動も
三要素の利にかなったものであると読み終わって感じます。

 あとがきで島内景二さんは下記のように解説してる。

 高杉晋作の二十七年と八か月の人生なしに、明治維新は達成されなかった。
人生を疾駆し、近代日本の魁と晋作の「魂の遺伝子」を同じ遺伝子を受け継い
でいると自任する葉室麟が、見事に解読した。それが、本書「春風伝」である。

 二十一世紀の日本は、かつてないIT化とグロバリゼーションの只中で「日本」
という文化の輪郭が融けつつある。この時、融解しつつある日本文化を逆手に
とって、新しい日本を一気に引き寄せる大風が吹くかどうか。いや、他人任せ
ではなく、私たち一人一人が、春風たりうるか。その覚悟のほどが、問われて
いる。松陰の言葉が松下村塾に集った若者たちの人生を変えたように、「春風伝」
は読者の世界観を一変させる。


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